6.転貸借 ・(宅建過去問題)
目次
転貸借 (令和02年12月問06)
【問6】
AはBにA所有の甲建物を賃貸し、BはAの承諾を得てCに適法に甲建物を転貸し、Cが甲建物に居住している場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- Aは、Bとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していたとしても、合意解除したことをもってCに対抗することはできない。
- Cの用法違反によって甲建物に損害が生じた場合、AはBに対して、甲建物の返還を受けた時から1年以内に損害賠償を請求しなければならない。
- AがDに甲建物を売却した場合、AD間で特段の合意をしない限り、賃貸人の地位はDに移転する。
- BがAに約定の賃料を支払わない場合、Cは、Bの債務の範囲を限度として、Aに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負い、Bに賃料を前払いしたことをもってAに対抗することはできない。
正解
1
1・・・誤り
AB間の原賃貸借契約が合意解除された場合には、Aは、転借人Cに対抗できませんが、合意解除の時に、賃貸人Aが解除権を持っていた場合、「合意解除」のルールではなく、「債務不履行による解除」のルールが適用されます。
2・・・正しい
賃借人B・転借人Cは、契約等によって定められた用法に従って、賃借物(甲建物)を使用収益する義務があります。この用法に従わずに甲建物を使用収益したこと(用法違反)によって、甲建物に損害が生じた場合、賃貸人Aは賃借人Bに対して損害賠償請求ができます。そして、この損害賠償請求は、賃貸物(甲建物)の返還を受けた時から1年以内にしなければなりません。
3・・・正しい
賃貸人Aが、不動産(甲建物)を売却した場合、賃借人Bが対抗要件を備えているとき、新賃貸人Dは、当然に(自動的に)賃貸人としての地位を引き継ぎます(=賃貸人の地位はAからDに移転する)。
4・・・正しい
転借人Cは、転貸人Bだけでなく、賃貸人Aに対しても直接、「賃借料または転借料の低い方」を支払う義務を負っています。そして、転借人CがBに対して賃料を前払いしていたとしても、賃貸人Aに対抗できません。